冬場の入浴中、5割の人が溺死する理由
2016年 2月 12日 リフォーム・リノベーション 家づくり豆知識
消費者庁が、冬場に高齢者の入浴中の事故が多発していることから、高齢者に注意を呼び掛けています。
具体的にどういった事故が多く、どうすれば事故を防げるのか、詳しく見ていきます。
「冬場に多発する高齢者の入浴中の事故にご注意ください!」と呼びかけ/消費者庁
浴槽での溺死の約9割が高齢者。特に冬場に事故は多発
消費者庁が注意を呼び掛けている理由として、人口動態統計を分析した結果から問題が浮き彫りになりました。
家庭の浴槽での溺死者数は平成26年では4866人で、10 年間で約7割増加してうます。
そのうち高齢者(65歳以上)が約9割を占めている(図1参照)のです。これは高齢者の人口が増えているのもありますが、欧米に比較しても溺死者数の中で高齢者が占める割合は高いと言う事です。
入浴中の事故死は、12月~2月の冬場に多く発生しており(図2参照)、全体の約5割が冬場に集中しています。
「入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究(平成25年度)」によると、入浴中の事故死の数と気温に相関が見られるという。
高齢者にとって寒い冬場は、入浴する際の身体状況や入浴の環境によって、意識障害を起こし溺水するなどの重大な事故につながる危険性が高くなります。暖かい季節よりも、入浴の仕方に注意を払う必要があります。
浴室の温度、お湯の温度、ゆっくり、アルコールがポイント!!
消費者庁が呼び掛けている注意ポイントを抜粋して、ご紹介します。
- 入浴前に脱衣所や浴室を暖める
急激な温度の変化によって血圧が大きく変動すると、失神して浴槽内で溺れる危険性が高まる。入浴前に脱衣所や浴室などを暖めておくことがポイント。 - 湯温は 41 度以下、湯に漬かる時間は 10 分までを目安に
熱いお湯に長く漬かってのぼせてしまい、意識障害が起こった場合、お湯の温度まで体温が上昇して熱中症になる危険性が高まる。お湯の温度や浴槽に漬かる時間を意識することがポイント。 - 浴槽から急に立ち上がらない
入浴中は体に水圧がかかっているので、急に立ち上がるとそれまで圧迫されていた血管が一気に拡張して、貧血状態になる危険性が高まる。手すりなどを使って、ゆっくり立ち上がるようにすることがポイント。 - アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控える
アルコールが悪影響を与えると考えられているほか、食後すぐというのも血圧が下がりすぎる食後低血圧で失神することもあるのだという。 - 入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらう
入浴中の異変には早期対応がカギ。入浴時間がいつもより長いと同居者に気づいてもらい、早期発見することが大切に。
ポイントの対策として、1.シャワーなどを使って浴室の温度を上げる 2.キッチンタイマーも使い時間管理する。 3.何事にもゆっくり動きましょう。 4.お酒を飲む前に入浴しましょう。 5.家族とコミュニケーションをとりましょう。
入浴者の異常を発見した場合の対処法なども記載されているので、高齢者と同居している人などは資料に目を通しておく事をオススメします。
タイルの風呂をユニットバスに変える方法。~事故防止に活用できるさまざまな機能~
寒くて起こる事故の根源となる風呂ですが、昔の風呂はタイルの床に、タイルの壁。ヒンヤリ冷たいですよね。これが風呂を寒くする最もな原因です。タイルの風呂をユニットバスにリフォームすることで、事故防止に有効です。
最近のユニットバスは天井、壁、床下とスッポリと断熱材で覆われている断熱パックがあります。断熱材で覆われる事で冷たい空気が入りにくくなり、浴槽の蓋を開けっ放しでお湯を張ると暖かいお風呂に入れます。浴槽も断熱材に覆われているので、冷める事が少なくなるので、光熱費にも一役かってくれます。
オプションで浴室乾燥機付きにすれば、暖房機能を使って入浴前に浴室を暖めておくことができますし、涼風機能などもあるので、のぼせ防止に利用する方法もある。
また、手すりの設置はもちろんですが、追い焚き機能付きのボイラー等にすれば、お湯の温度を設定できるし、リモコンに時刻も出たりします。
床も最近では滑りにくい床材や低床型といって浴槽の縁が低くてまたぎやすいものも登場している。
最新のユニットバスにリフォームするには費用も手間もかかります。
ですが、こうした事故から身を守るには、最新機能を活用して危険を回避するということも検討の余地があると思います。